香港警察、南アジア系男性を拘束 7分間膝で押さえつけ死亡させた疑い

5月7日夜、香港警察が九龍中部の繁華街彌敦道(ネイザン・ロード)にて酔っ払いの男性に取り調べを行った際に武力で男性を一時拘束した。警察当局はその武力行使を「適切な武力」とした。男性は後に体調不良を訴え病院に搬送したが、入院した翌日に死亡した。西九龍警察総区重大犯罪調査組は事件の調査を引き継ぐとした。

警察当局の釈明によれば、同午後5時頃、油尖警察区の制服警官は彌敦道周辺に巡回中、助けを求めた通行人から、酒気を帯びた一人の非中国系男性がガラス瓶で走行中の自家用車を叩いたり、付近で駐めたバイクを倒したりする迷惑行為に関する通報を受けた。

その警官は彌敦道60号辺りにその男性を発見、職務質問を執り行った際に、男性が激しく反抗したことを受け、警官が通行人の協力の下、「適切な武力」で男性を取り押さえ、所持品からヘロインと思しき物を4グラム見つけたとした。その男性は器物損壊、麻薬所持と警察官傷害罪の容疑で逮捕された。

一方、事件を目撃した『苹果日報』読者黄某は同新聞に対し当時の状況を証言した。それによると、事件当時、3人の警察官が酔っ払いの男性を地面に拘束、膝で男性の首、背中と腕に乱暴に押さえつけ、うち1人は伸縮式特殊警棒で男性の両腕を叩いた。その間、警察官が数回広東語と英語で「唔好郁(動くな)」、「calm down(落ち着け)」、「stop(やめろ)」と男性を怒鳴りつけ、男性も一時抵抗を止めた。取り締まりの間、別の非中国人系男性が2人、警官に加勢し、その男性を抑えようとした他、別の通行人は警察官に対し、男性に手錠をかけるのを催促したが、警官が5〜7分の間、手錠をかけずに膝で男性を押さえつけ続けた。救急車が現場に到着した時、男性は既に意識を失った。

医療従事者:警官は心肺蘇生法ができるはず 救急隊員到着前、応急処置施されない可能性

とある公立病院の医療従事者は独立系ネットメディア『立場新聞』に対し、救急隊員が現場に到着した時、その男性がすでに心肺停止状態に陥ったことを明らかにした。救急車並びに公立病院の統括機関医院管理局の記録によると、救急隊員が現場に着く前、負傷者に心肺蘇生を行う者がいなかった。

別の医療従事者は『立場新聞』に対し、さらなる詳細を明かした。救急車の記録によると、警官は負傷者が警察車両に「Collapse(意識不明)」に陥ったとして、午後5時45分に救急要請したが、救急車が同午後6時4分に現場に到着した際に、救急隊員が被害者を「cardiac arrest(心停止)」している状態で発見し、即座に心肺蘇生を行った。その看護師によると、警察からの通報から救急車の現場到着まで、空白の19分の間、誰も負傷者に心肺蘇生を行っていなかった。

心肺蘇生を施された後、負傷した男性は心機能が一時回復し、同午後6時20分に伊利沙伯医院救命救急センターに搬送された後、同病院の集中治療室に治療を受けるも、翌5月8日午後5時45分に死亡が確認された。

ある医療従事者はその負傷した男性の脳、胸腔と腹にコンピュータ断層撮影(CTスキャン)を行ったが、致命傷になりうる箇所が見当たらなかったという。

医療従事者は、一般的に言うと、警察官は心肺蘇生法ができるはずで、救急隊員が到着する前、負傷者に応急措置を施すことができるとした上、心肺停止状態に陥った負傷者への措置が1分遅れるごとに死亡率が10%上昇すると指摘した。その医療従事者は、仮にその負傷者の心機能が一時回復したとしても、それは「中治り」に過ぎず、その時点において医療従事者にできることが限られていると述べた。その医療従事者は、死亡原因の最終判断が検視官に委ねるとしながらも、事件現場の人員が負傷者への応急処置を怠り、結果的に応急処置の遅れにより死亡に至ったのではないかとの所見を述べた。

薬毒物簡易検査結果は陰性

その医療従事者は、負傷者が入院した際、薬毒物の簡易尿検査を行ったが主要な薬毒物に対して陰性反応を示したことを明らかにしたが、簡易検査は新型の覚醒剤など、必ずしも全ての薬毒物を検出できるものではないと補足説明した。

ヘロインに対する薬毒物簡易検査の有効性について尋ねると、その医療従事者は、摂取量が少ないか、摂取時間が短すぎる場合においても陰性反応を示すため、簡易検査はあくまで参考材料であり、より詳しく調べるのに検体をラボに送り、そこで検査しなければならないと説明した。

警察当局は、西九龍警察総区重大犯罪組が事件の調査を引き継いだとした上、現場検証とともに目撃者にも連絡したとした。当局は、死因を特定すべく、後日死者の検視を執り行う予定とした。

『香港法例』第212章『人身に対する犯罪条例』第7条:
故殺罪(Manslaughter)
で有罪判決を受けた者は、無期懲役並びに裁判所の定めるところにより罰金を科せられます。

『警察一般命令』第29章第29-01条:
7. 調査結果が事実に基づくものであることを証明するために、捜査官が以下の点に常に留意する必要がある:
(a) 使用される武力は、目的を達成するのに必要な最小限度の武力でなければならず;かつ、目的が達成された後、その使用を直ちに中止しなければならないこと;並びに
(b) 使用された武力は、当時の状況において合理的であること。

 

明報(報道)

蘋果日報(報道)

立場新聞(報道)